債権者が職場に電話連絡をしたり、訪問をすることは原則として禁止されています。しかし、あなたが債権者からの連絡を無視していると、そのような行為が認められてしまう場合があります。
債権者である金融業者も優良な企業ばかりとは限りません。中には、少しでも返済が遅れ、あなたと連絡がとれなくなると、いきなり会社など職場を訪問する業者もいます。
あなたが職場の電話番に居留守を使うようにお願いして一時うまくいったとしても、そのような業者は決してあきらめません。法的手段を行使するより前に、あなたの上司に直接連絡をとるなどして、あなたを心理的に追い詰めようとする業者もいます。
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取り立ての例
私の友人が経験した、職場へに取り立てに来た例をご紹介しましょう。
ケース1:バブル経済全盛の頃、友人は、父親の借金の連帯保証人になっていました。バブルが弾けると、友人の父親は返済が滞るようになり、債権者は連帯保証人の友人に連絡をしてきました。債権者にしてみれば、借主の父から入金がないのですから、連帯保証人の友人に連絡をするのは当然です。
一日に何度も債権者から携帯電話に連絡があったとのことで、勤務中は電話にでれませんから、休憩時間にずらっと並んだ着信履歴を見てはため息をついていたそうです。最初の頃は折り返し連絡をしていたそうですが、面倒になり応対しなくなりました。
すると、債権者が友人の働く職場にやってきました。債権者は銀行ではありませんが、名の通った金融会社でした。そのせいか、担当者はいかつい感じではなく、痩せた見るからにサラリーマン風の人だったそうです。その人は終始、低姿勢で、支払ってもらわないと自分がクビになるから、念書を書いてほしいと涙目で訴えてきました。契約書に友人の署名があるのだから、念書は必要ないだろうと思いましたが、なんだか気の毒になり、必ず返済をするようにします、という念書に署名したそうです。債権者は取りはぐれないように、二重、三重の策を講じたのでしょう。担当者は何度もありがとうございました、と頭を下げて出ていきました。早く返せと脅すのではなく、こうして情に訴えるのもありだな、と感心しました。
ケース2:私の友人が若い頃の話です。ギャンブルが好きな友人は、ある貸金業者に数十万円の借金をしました。ギャンブルの借金はギャンブルで返す、そう意気込んでいたものの、そんなに甘いものではありませんでした。ギャンブルは勝つときもありますが、大抵負けます。頭ではわかっていても、勝った時の高揚感が忘れられず、負けるとわかっていても掛け金を2倍、3倍にして一発逆転を狙い、最後には一文無しになるというパターンが多いのです。当然、返済の期日がきても手元にお金が残っていませんから、払えるはずもありません。そうなると、催促の連絡を無視するようになります。
無視し続けて1か月ほど経ったある日、職場の受付の女性が友人の席に来て、小声で言いました。「なんか、感じ悪い人たちが○○さんに面会させろと言ってるんですけど、どうしますか?」友人はすぐに借金の取り立てだとわかりました。ここで居留守を使って居座られても困るので、応対しました。やはり、借金の取り立てのために職場に来られると、まわりの目が気になります。何回も同じようなことがあると噂がたちますので、なんとかお金を工面して返済することにしたそうです。
ケース3:ある男から友人の職場に電話がかかってきました。電話を取り次いだ者が言うには、ものすごい剣幕で私をだせと言っているとのことでした。相手の名前には覚えがなかったので、きっと何かの間違いだろうと思い電話にでると、受話器の向こうでいきなり怒鳴り声が聞こえたそうです。どうやら、友人の部下あてに今まで何回も電話をかけたが、いつもいないと居留守を使われていることに腹をたてているようでした。
興奮している相手をなだめ、部下とはどういう関係なのかを聞くと、その男は金融業者で、貸した金を返さないから連絡しているがいつも居留守を使われるとのことでした。相手の話を聞き、必ず部下に連絡をさせるからというと、相手は落ち着きを取り戻し電話を切ったそうです。もし、友人まで知らぬ存ぜぬの対応をしていたら、翌日に職場に乗り込まれ大騒ぎになっていたことでしょう。
債務者が元本に利子をつけて返済することで、借金を取り立てに来る人の給料が金融会社から支払われるのですから、借金の取り立てに真剣になるのは当然です。債務者が居留守を使おうが居場所を変えようが、債権者は必ず債務者の居場所をつきとめ返済をさせます。
返済できないからといって、債権者からの連絡を無視していると、職場に電話がかかってきたり、乗り込んだりするだけではなく、もっと過酷な状況になります。
上記は比較的穏やかな取り立ての例でしたが、闇金(ヤミ金)業者は、違法業者であることは棚に上げ、執拗に返済を迫ってきます。こういった事態に陥らないためにも、返済が困難になったら早めに手を打つことが肝心です。
まとめ
債権者が職場に電話連絡をしたり、訪問をすることは原則として禁止されていますが、債権者からの連絡を無視していると、お構いなしに職場にやってくる場合があります。そうなるとあなた自身に多大なストレスがかかりますし、職場の人たちにも悪い印象を与えてしまいます。
返済が困難になったら、早めに専門家に相談しましょう。